この記事はわたし自身の摂食障害体験、メンタルヘルス系の記事の続きになります。
まだ読んでいない方は、是非前回の記事からお読みください。
わたしは二十歳くらいのとき、摂食障害になりました。身長が161センチなのに対し、当時の体重は39キロ。
これまでは摂食障害になった原因や、克服できた方法などをお話してきました。今回は前回に引き続き、メンタル系の病気を抱えた方を身近に持つ方に向けた内容となっています。
彼らとどう接したらいいのか迷っている方は、参考になれば幸いです。
摂食障害の子へ、周囲がとるべき対応
今回紹介するのは、あくまでもわたしの実体験によるものです。
以下に「ベター」「NG」と表記しましたが、「NG」としたものについては、おそらく誰が言われてもイヤだろうなと思うことです。
「ベター」と思われるものは、わたしが実際に嬉しいと感じた対応です。当然人によってはイヤかもしれないので、お互いの信頼関係、距離感、相手の性格などを考慮して判断してあげてください。
NGな言動
摂食障害の子に言ってはいけない言葉は、大きく分けると以下の3種類になります。
- 吐く行為などをおちょくる
- 「太る」ことを連想される発言をする
- ヤバい、キモいなど、傷つける発言
1・3に共通するのは、根底に『バカにした気持ち』があることです。それほど親しくない、本当は心配していないからこそ、出てしまう発言ですよね。
「なんの本読んでるの?」と聞かれ、「主人公がこれこれこうで、吐いちゃう描写があるんだけど…」といった時に、「あんたじゃん!笑」と言われた。わたしにもそんな経験があります。
仕方ないんですけどね。誰がどう受け止めるかなんて、こちらではコントロールできません。言われてしまったものは仕方ありませんが、現在進行形で摂食障害者に接している人は、もう少し気を付けた方がベターです。
2の『「太る」ことを連想される発言をする』についてです。
中には、「痩せていなければならない」という強迫観念を持っている子もいます。そんな子にとっては、「太る」は禁句ワードです。
太らせようとすることや、「いずれ太る(元に戻る)から大丈夫だよ」といった、太ってしまうことを連想させる言葉もNGです。太ることが恐怖の人にとって、それを連想させるのは追い込む行為になります。
ベターな言動
- 特別扱いしない
- 普通に接する
これが、なによりもベターな対応かもしれません。でもこの「普通」というのが意外と難しいですよね。
友人や家族は、摂食障害の人がいると、外食の誘いや提供する食事に気を遣います。その子が人前で食べたくないという子であれば、そもそもそういう場所には行かないでしょう。
しかし、「みんなといることで、孤独感を紛らわせたい」というタイプの子は、誘われたら行くと思います。わたしがそうでしたから。
そんなときは、個々人で好きなものを頼めるファミレスのような場所に行くのが便利です。障害の子はサラダだけ、スープだけを頼むか、普通に頼んで後で吐く形になると思います。
それをわかった上で、忠告のようなことはなにも言わないであげてください。
個人的な体験
当時わたしが所属していたサークルに、Oくんという人がいました。
彼はとても無邪気な人で、誰にでも分け隔てなく接する人でした。そんな彼だからこその対応だと思いますが、わたしとっては彼の対応がいちばん心地よかったように記憶しています。
彼は骨のようなわたしの手首を見て、「待って!細!」と握ったことがありました。自分の手首と比べて、「え?え?」と信じられない様子で笑っていました。
それが心地よかったのは、彼の純粋な気持ちでもって、そのままの自分を受け入れてくれていると感じられたからですね。O君だけは、わたしが吐くのを否定したり、説教したりしなかったように思います。(もうほとんど忘れてしまいましたが…)

Oくん、元気でやってるかな…
曖昧な記憶ですが、彼だけはわたしの状況を冷静に受け入れ、「吐いた」と聞いたら「どれぐらい吐いちゃったの?」など淡々と聞いてくれたように思います。
この経験から言えることは、摂食障害の人からの「報告」には、淡々と受け答えしてあげてほしいということです。
- え~!吐いたの~!また~?!
- いい加減にしなよ~…
- お願いだからやめて
これらは優しさから言っているとしても、過剰な反応は逆効果です。「受け入れてもらえていない」と思えば、その子は「受け入れられている」と感じるまで、「報告」を辞めないと思います。
それほど親しくなければ、「この子私を受け入れてくれない」と去っていくでしょう。しかし家族や恋人など、距離が近ければ近いほど、甘えてしまう傾向にあります。
自分に近しい人が受け入れてくれないのは、その子にとって寂しいことです。ですから、受け入れてもらえるまで、吐いた報告や心配させるような言動をやめられません。
- そうか、吐いちゃったんだ
- なにを、どれだけ食べたの
- どれくらい吐いちゃったの?
- 苦しかったね
このように、ただただ事実だけを反復(オウム返し)することで、その子の状況を受け止めてあげてください。そうすれば、その子は安心しますし、落ち着いてくれるはずです。
いい加減、しんどいと感じたら…
恋人や友人、家族など、摂食障害の方を身近に持つ方々にとっても、病気は深刻な問題だと思います。突き放すことができないと感じるからこそ、その対応に困り、参ってしまいますよね。
「相手をするのがしんどい…」
そう思ってしまうのは、当然です。あなたは悪くありません。身近な人とはいえ、大事な人とはいえ、他人ですから…。
他人の人生まで、あなたがすべて背負うことはできませんよね。だからどこかのタイミングで、「ここまではするけど、それ以上はしない」という線引きをするのも大事かもしれません。
わたしの場合、親身になって寄り添ってくれる人はいませんでした。
家族とも離れて暮らしていましたし、たまに会っても「食べろ」と言われるだけで、「摂食障害という病気に一緒に向き合う」という態度を取ってもらったことは一度もありません。
そもそも、摂食障害という認識すらされていなかったと思います。
現在進行形で摂食障害の方と向き合っている方にとっては、これからどう接していくかは、非常に知りたいことだと思います。次回の記事では、摂食障害の方への冷静な対応について書いていきたいと思います。
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