この記事は、前回書いたものの続きになります。
まだ読んでいない方は、是非そちらからお読みください。
拒食症などの摂食障害というと、「思春期の女性の痩せ願望」だと安易に決めつけられがちです。
ですが実際は、そんな単純なカラクリではないんですね。
摂食障害とは元からその子の心の奥にあった闇が、「食の拒絶」「吐く」などの形で表に出てきたもので、「助けてほしい」という心の叫びです。
わたしは二十歳くらいのとき、摂食障害になりました。
身長が161センチなのに対し、当時の体重は39キロでした。
十分に痩せていても自分のことは「デブだ」と思っていましたし、もっともっと、誰よりも痩せたいと思っていました。
そこまで自分を追い込んでしまった理由はなんなのか。
今となって思う理由、なぜそうなったのかをお話していこうと思います。
高校3年生頃に発症
摂食障害のきっかけとなるできごとを思い出せても、発症した明確な時期の記憶はありません。
わたしの場合、摂食障害のはじまりは「食べたものを吐く」ことから始まりました。
前回の記事で書きましたが、失恋したことで「痩せていないと愛されない」と思い込んだわたしは、徐々にカロリーの高いものを受け付けなくなっていきます。
でも体は育ちざかりなので、食欲は旺盛です。
親の目もありますし、まったく食べないわけにもいきません。
その解決策が、とりあえず人の前では食べて、その後にトイレで吐くことでした。
おそらく漫画かなにかで、「食べたら吐けばいい」という知識を身につけてしまったんだと思います。
高校3年生にもなると、お菓子やデザート、夕食を食べたらトイレで吐くという行為をするようになりました。
食べることへの罪悪感
今になって思うのは、吐く=生きることへの反発だったと思います。
学校にも家にも居場所がなく、誰にも理解されず、愛されている感覚を知らないまま10代を過ごしましたから、「消えたい」「死にたい」と願う毎日でした。
今でも「自殺願望」とまではいきませんが、「希死念慮」といいますか、漠然と消えたい気持ちを抱えたまま生きています。
食べるということは、そのまま生きる行為に直結します。
生きたいから食べるのが、普通の人。
生きたくないから、食べて吐くのがわたし。
「助けて」というメッセージがリストカットとして現れる子がいるように、わたしの場合は摂食障害として現れたのだと思います。
摂食障害=自傷行為
わたしが思うに、摂食障害は自傷行為の一種です。
死にたくても死ねない自分、誰にも愛してもらえない自分を罰することが、自分自身に対する歪んだ愛情表現だったのではないかと、今になっては思います。
親からは暴力や暴言を、学校ではいじめや無視を経験しましたから、「大切にされない」ことがわたしにとっては当たり前のコミュニケーションでした。
虐げるというコミュニケーションを、拒食・吐くという形で、自分自身にも向けてしまったんですね。
ひとり暮らし開始で、エスカレート
「18になったら、家を出れる」
この思いだけで苦しい実家時代を生き抜いてきたわたしでしたが、ようやくその時が訪れます。
東京の大学に進学したのをきっかけに、ひとり暮らしをスタートさせました。
父親からの暴力・暴言、母親からの人格否定、地元の憎い同級生…。
そんな厄介ごとから離れ、これまでになく快適なひとり暮らしになるはずでした。
家にいると、当たり前ですがしんとしています。
実家でも、わたしはなるべく自分の部屋に閉じこもっていましたから、同じような状況です。
でも実家の部屋で一人でいることと、東京の部屋で一人でいることとは、なにか違いました。
人の気配がないからです。
本当に認めたくないことでしたが、母親のことは喧嘩をするとはいえ、頼りたい気持ちがあったのだと思います。
くだらないことを話して、笑い合える弟の存在もありません。
自分がそうなるとは思ってもみませんでしたが、わたしはホームシックにかかってしまいました。
人の目がないので、歯止めが効かない
ホームシックの寂しさに加え、大学でも孤独だったのが、さらにストレスを増加させることになりました。
わたしが入った学部は、クラス制でした。
ようやく高校のような面倒くさい人間関係から離れられると思ったのに、大学に入ってからも毎日同じメンバーと顔を合わせなきゃいけないなんて…。
すっかりわたしは絶望してしまいました。
相変わらず、人間関係はうまくなりません。
人間関係を避けたくても、授業についていくのが精いっぱいで、人の力を借りないと課題さえこなせない日々…。
ひとり暮らしの孤独感、大学内での孤独感、勉強についていけないストレス、周りより出来が悪いという劣等感…。
いろいろなストレスに押しつぶされ、このときに本格的に過食嘔吐にハマるようになっていきます。
ひとり暮らしなので、誰にも責められることもなく、吐き放題です。
お菓子を買い込み、全部食べ、吐きやすいように水を流し込んだ後、トイレで一気に吐きます。
普段はゼロキロカロリーゼリーですとか、そういった栄養にならないものばかり食べて、空腹感を紛らわせていました。
そういう生活を繰り返していたら、体重は39キロになりました。
手首なんかは骨むき出しといった形で、顔もげっそりしていてだいぶ不健康な見た目だったと思います。
27キロ以上はデブ
当時はかなり自分を追い込む思考になっていましたから、39キロ程度じゃまだまだデブだと思っていました。
その頃付き合いのあった人の中に、同じように拒食の方がおりました。その方は、
「人間、27キロまでは死なないらしいよ」
というのです。
どういう意味で27キロまでは大丈夫なのか、今思えば謎なんですが笑、その言葉に煽られているような気がしてしまい、「39じゃデブなんだ!絶対に27キロまで痩せる!」と思ってしまったのです。
どんなに痩せても若さゆえか、栄養失調で倒れるということはなかったんですね。
幸運と捉えるべきなのですが、当時のわたしはそれが恥ずかしくてしかたありませんでした。
「車いす生活になるくらい痩せている人もいるのに、わたしなんてピンピンして、健康的でバカみたい。努力が足りないんだ」
と、そのように思っていたんですね。
意地でも痩せなきゃ、ガリガリになって心配されなきゃプロじゃない(?)と思っていたわたしですが、自然と拒食・過食嘔吐地獄から離れるようになっていきます。
どのようにして「克服」できたのかは、また次回に続きます。
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